コリジョン 【collision】

概要

コリジョン(collision)とは、衝突、激突、不一致などの意味を持つ英単語。電気通信の分野では、同じ伝送路を共有する複数の装置が同時に信号を発信して混信してしまう現象をこのように呼ぶ。

二台の機器を結ぶ一本の信号線を両方向の通信に共用したり、三台以上の機器が同一の伝送路を共有する場合、複数の機器がほぼ同時に信号の送出を開始してしまう場合がある。信号波同士が干渉しあって波形が崩れ、いずれの信号も正しく検知できなくなってしまう。

有線通信の場合、二台の機器間であれば二本の信号線を束ねて使用し、一本ずつ片方向の通信に用いるようにすれば衝突を回避できる。これを全二重通信という。三台以上で構成されるネットワークの場合は、CSMA/CDのような通信制御を行うか、すべての機器をスイッチング機能付きの集線装置に接続して物理的な回線を三台以上で共有しない構成にすることが多い。

無線通信の場合、一つの周波数帯域を二者の通信で用いる際に、帯域を上下に二分割してそれぞれ片方向に割り当てたり(FDM:Frequency Division Multiplex)、極めて短い時間ごとに通信方向を切り替えたり(TDM:Time Division Multiplex)してコリジョンを回避する手法が用いられる。また、無線LAN(Wi-Fi)などのネットワークではCSMA/CAなどの仕組みにより三台以上の機器間でコリジョンが起きないよう調整する。

(2018.10.22更新)

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