メディアアクセス制御 【MAC】 Media Access Control / 媒体アクセス制御 / メディアアクセスコントロール / MAC副層 / MAC sublayer / MAC層 / MAC layer / MACレイヤー
概要
メディアアクセス制御(MAC)とは、通信プロトコル(通信規約)を階層化したモデルにおける層の一つで、物理層とネットワーク層の間のデータリンク層(第2層、リンク層)を上下に分割したうちの下側(物理層側)の副層(sublayer)のこと。LAN系プロトコルのデータリンク層のことを指す場合もある。MAC層のプロトコルや伝送制御技術は、通信ケーブルなどの物理的な伝送媒体を共有する複数の機器が互いを識別し、信号の衝突などを回避して滞りなく通信できるようにするのが主な役割となる。
具体的には、機器を識別する「MACアドレス」と呼ばれる番号の定義や割り当て、信号の送信タイミングの制御(衝突検知・再送、衝突回避などの仕組み)、送りたいデータを一定の大きさごとに分割して宛先アドレスなどの制御データを付加した「フレーム」(frame)の組み立て(送信時)や分解(受信時)、伝送時の誤り検出などの方法を定めている。
MAC副層とLLC副層
1980年代にIEEE 802委員会がLANにおける物理層やデータリンク層の技術を検討し、データリンク層の機能を物理層側の「MAC副層」とネットワーク層側の「LLC副層」(Logical Link Control:論理リンク制御、IEEE 802.2)に分割した。
MAC層は物理層の各方式の媒体や通信方式の違いに合わせてそれぞれ適した仕様を定める一方、LLC層はこれらの違いを吸収してネットワーク層側から統一的な方法でアクセスできるようにする手段として定義された。
当時はLANの物理層の技術として「イーサネット」(Ethernet)や「トークンリング」(Token Ring)、「FDDI」など様々な方式が存在したためこのような仕組みが考案されたが、その後、有線LANはEthernetにほぼ統一されたため、このような副層の分割と役割分担は実質的には無意味になってしまった。現在ではEthernetなどLAN系技術のデータリンク層の仕様のことをMACということがあるほか、「MACアドレス」などの用語にその名を残している。
(2024.2.20更新)