ベースバンド 【baseband】 BB / 基底帯域

概要

ベースバンド(baseband)とは、通信において送りたい情報をそのまま表した信号の占める周波数帯域のこと。これをそのまま伝送媒体に送信して通信する方式をベースバンド伝送という。

例えば、人間の可聴音を収録した音声信号のベースバンドは20~20,000Hz(ヘルツ)程度となる。アナログ電話は3.4kHzのベースバンド伝送を採用しており、電話機で音波を同じ周波数で電気信号に変換したものをそのまま信号線に流している。

一方、電波を用いる無線通信などではベースバンドでの伝送が困難・不適なことが多いため、ベースバンドとは異なる周波数帯(RF:Radio Frequency)に「搬送波」(carrier wave)と呼ばれる基本信号を作り出し、ベースバンド信号の変化に合わせて何らかの変化を与えることで情報を伝送する。このような変換を「変調」(modulation)、受信側で逆変換してベースバンド信号を取り出す操作を「復調」(demodulation)という。

ベースバンド装置

無線通信機などの内部で、送信したいデータや信号からベースバンド信号を生成して変復調回路・装置へ送出したり、受信したベースバンド信号から元のデータや信号を得る部品や装置を「ベースバンド部」「ベースバンドモジュール」「ベースバンドユニット」(BBU)などという。特に、半導体集積回路ICチップ)になっているものを「ベースバンドIC」(BBIC)「ベースバンドチップ」「ベースバンドプロセッサ」などと呼ぶ。

スマートフォンなどでは、ベースバンドプロセッサが不揮発メモリに記録されたファームウェアと呼ばれる制御ソフトで動作するようになっていることが多く、利用者が使用開始後に製造元から新しい版が送られてきて書き換えられることがある。

俗に、この「ベースバンドプロセッサのファームウェア(のバージョン)」のことを略してベースバンドと呼ぶことがあり、このような用法はベースバンドの原義からはかなり離れているが、多くの機種では設定画面などで当該項目が「ベースバンド」あるいは「ベースバンドバージョン」などと記載されており、一定程度定着している。

(2020.4.20更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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