WDM 【Wavelength Division Multiplexing】 波長分割多重 / 光波長多重
概要
WDM(Wavelength Division Multiplexing)とは、一つの回線に複数の回線の信号やデータをまとめて同時に送受信する多重化技術の一つで、光ファイバー回線で波長の異なる複数の光信号を同時に伝送する方式。電気信号に比べ、光信号は波長が異なるもの同士の間でほとんど干渉が生じないという性質がある。一本の光ファイバーにわずかずつ波長の異なる複数の光信号を重ねて伝送することで、複数の回線を束ねたのと同じように伝送容量を向上させることができる。
少ない波長を利用する方式を「CWDM」(Coarse WDM/coarse:疎な)、多数の波長を利用する方式を「DWDM」(Dense WDM/dense:密な)と分類する。「波長がいくつ以上(あるいは波長の間隔が何nm以下)からDWDM」といった厳密な定義は無いが、通常は間隔が20nm(ナノメートル)前後のものをCWDM、それ未満をDWDMに分類する。
CWDMは一般的な光ファイバーが対応する1300nm前後から1600nm前後までを20nm程度の間隔を空けて利用する方式で、最大で16~18波長程度が利用できるが、実用上は4波長や8波長とすることが多い。比較的安価な装置で実現でき、通信事業者の拠点間など数十kmまでの短距離回線で利用される。
DWDMは0.8nmといった極めて狭い間隔で波長を重ねる方式で、100波長程度から最大で1000波長を超えるシステムが実用化されている。制御が難しく高価な機器が必要で、専用の増幅器などと合わせて主要都市間や国家間、大陸間など長距離の基盤的な回線網で利用される。
(2022.11.13更新)