バーストトラフィック 【burst traffic】

概要

バーストトラフィック(burst traffic)とは、ある通信回線やネットワークなどに、一時的に大量のデータが流れること。また、他のコンピュータに機能やデータを提供するサーバコンピュータに、一時的に大量のデータ送信要求や処理要求が届くこと。

短時間あるいは短期間に、それまでの平均を大きく上回るデータが流通する現象で、設備の許容量を超える規模で発生すると通信機器やサーバなどの性能が極端に低下したり、システム障害が発生するなどして通常の運用が不可能になる場合がある。

主な原因

利用者の行動に起因する現象としては、元旦の「あけましておめでとう」メッセージの大量送受信のように周期的に発生するものや、大規模イベント開催のように事前に起きることが予測されるものがよく知られ、予見可能なため事前にある程度対策することができる。

一方、大災害など予期することが困難な事象に伴って発生することもあり、事前に時期や規模を予測して備えることは難しい。広域の災害では設備が損傷するなどして平時なら問題なく捌ける規模のトラフィックへの対応が困難になってしまう場合もある。

また、システムの機能や構成に起因して発生する場合もある。例えば、多数のサーバを運用しているデータセンターで運用設定に問題があり、特定のタイミングでサーバ群が一斉にデータの発信を行ってしまう事例や、オペレーティングシステム(OS)の更新プログラムの配信が開始されて端末が一斉に取り寄せようとしてしまうといった状況がよく知られる。

主な対策

設備側で行える対策としては、一定以上の負荷増大を検知したらサーバなどの規模を自動的に増大(スケールアウト)するクラウドサービスを利用したり、QoS機能などを用いて優先度の低い通信を一時的に抑止するといったものがある。システムに起因するものは設定や構成を見直して一斉通信が発生しないようにする必要がある。

しかし、事前に青天井に資源を用意して備えることは物理的にもコスト的にも困難であり、設備側でできることには限界がある。通信事業者などでは混雑が予見される場合に利用者に発信を控えるよう事前に呼びかけるといった対策を行う場合もある。

(2023.8.3更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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