ブロードキャストストーム【broadcast storm】
概要

構内ネットワーク(LAN)内ですべての機器に同報送信する特殊なフレームを「ブロードキャストフレーム」という。通常、LAN上である端末がブロードキャストフレームを送信すると、スイッチはそれをすべてのポートへ転送し、同じセグメント内の全機器が受信した時点で伝送は終了する。しかし、複数のスイッチがループ状に接続されている場合、転送されたフレームはループを周回するように機器間を巡り続け、元のスイッチへ戻ってくる状態が生じる。
スイッチはブロードキャストフレームを受信するたびに全ポートへ再送信するため、ループ内を流れるフレームの数は指数関数的に増加する。短時間で帯域と処理能力のほぼすべてがブロードキャストフレームの受信・再送信に費やされ、通常の通信が完全に阻害される。スイッチのCPU負荷上昇やバッファ枯渇も同時に発生し、パソコンやサーバなどの端末機器も大量のデータ受信処理に追われる状態となる。
発生の主な原因は、スイッチ間の誤配線や二重接続など、物理的なループ経路の形成である。一度発生したブロードキャストストームは、ループを構成しているケーブルを取り外すか該当ポートを遮断するまで収束しない。予防策としては、ループが生じないよう配線を管理する方法のほか、スパニングツリープロトコル(STP)を利用する方法がある。STPはスイッチ間で制御メッセージを交換し、論理的に冗長な経路を自動的にブロックすることでループを防ぐ。障害時には遮断していた経路を自動で有効化し、通信を継続させる機能も備える。
企業向けネットワークでは、STPに加え、一定時間内のブロードキャスト量を制限するストームコントロール機能やBPDUガード、ループ検知機能なども組み合わせて用いられる。なお、冗長化や高速化を目的にスイッチ間を複数のケーブルで繋ぐ「リンクアグリゲーション」技術もあり、ループを回避しつつ複数の物理リンクを束ねて帯域と可用性を確保することができる。