ジャム信号 【jam signal】
概要
ジャム信号(jam signal)とは、イーサネット(Ethernet)で同じ回線を共有する機器同士が同時に送信を開始してしまった際に、これを検知して信号の衝突を知らせる信号。回線上のすべての機器はジャム信号を検知したら送信をやめてランダムな時間待機する。初期のイーサネットでは同じ信号線(ケーブル)を3台以上の機器が共有していたため、専門の制御システムを置かずに送信順の調停を行う仕組みが必要だった。そこで、信号の衝突を検知したら送信をやり直す「CSMA/CD」という制御方式が採用された。
複数の機器が不運にも同時に送信を開始してしまうと電気信号の電圧が規定の値から外れるため、信号の衝突を検知することができる。衝突を知った機器は送信を中止して一定時間、特定のビットパターンで構成されたジャム信号を送信し、送信を終了する。
ジャム信号は同じ回線を共有するすべての機器に伝播し、送信中の機器はこれを中止して待機する。すべての機器が沈黙した後、各機器が自らランダムに決めた時間だけ待機し、最も早く待機が終了した機器が送信をやり直す。ランダムな値が競合することは稀なためスムーズに送信が再開され、不運にも再び衝突してしまったらジャム信号を発信して同じプロセスを繰り返す。
なお、現在のイーサネットではスイッチングハブがすべての信号の伝送を仲介しており、3台以上の機器が信号線を共用することはなくなったため、CSMA/CDおよびジャム信号の仕組みも使われなくなっている。10Gigabit Ethernet以降の規格では正式にCSMA/CDが仕様から削除された。
(2024.8.21更新)