ストアアンドフォワード【store and forward】蓄積交換
概要

中継装置はデータを受信すると、それをメモリやストレージに一旦記録し、宛先や回線の状況、データの内容を確認した上で次の装置へ送り出す。この記録と確認の処理に時間を要するため、伝送には一定の遅延が必然的に発生する。送信側と受信側が同時に通信可能な状態である必要はない。
中継装置の処理状況や経路上の装置数によって遅延の度合いは変動するため、通信品質を常に一定に保つことは難しく、リアルタイム性が求められる用途では課題となりやすい。一方、通信回線を通信中ずっと占有する必要がなく、データ量に応じて回線を使用するため、限られた回線資源を効率的に利用できる。
複数の通信が同じ回線を共有できることから、利用者が増えて回線が混雑した場合でも、回線交換方式のように接続そのものができなくなる事態は起こりにくい。中継装置の記憶装置にデータを一時的に保存しながら順次配送できるため、経路上のどこかで問題が生じても通信が完全に遮断される事態は起きにくい。インターネットなど今日のデータ通信システム、通信サービスの多くがこの仕組みを採用している。
これと対比される方式が「回線交換」(circuit switching)である。回線交換では送信元と宛先の間で通信が行われている間だけ専用の回線を確立し、信号やデータはその回線を通じて直接伝送される。アナログ電話回線網はこの方式の代表例である。回線を占有する分、通信中は安定した品質を保てるが、回線を確保できなければ通信自体が成立せず、混雑時には接続が不可能になりやすい。
転送方式のストアアンドフォワード
「ストアアンドフォワード」という語は、パケット通信網におけるルータやネットワークスイッチなど中継装置のパケット転送方式を指す場合もある。この場合はパケットを最後まで受信して内蔵メモリに記録し、データ全体が正しく受信できたことやエラーの有無を確認した上で次の装置へ送出する方式を意味する。破損したパケットを検知して破棄できるため、通信全体の信頼性を高めやすい。
これに対し、パケットの先頭部分にある宛先情報を受信した時点で、全体の受信を待たずに次の装置への送出を始める方式は「カットスルー」(cut through)と呼ばれる。この方式は転送遅延を抑えられるが、破損したパケットもそのまま転送してしまう。両者は中継処理における遅延と信頼性のバランスが異なる転送方式として用途に合わせて選択される。