ダイオード 【diode】
概要
ダイオード(diode)とは、電子部品や半導体素子の一種で、電流を一方向にしか流さない作用を持つもの。最も基本的な素子の一つで、様々な用途に用いられる。通電すると発光する性質を持つものを特に発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)という。アノード(anode:陽極)とカソード(cathode:陰極)の2つの端子があり、アノードからカソードへは電流を流すが、反対方向へは電流を流さないという性質がある。
発光ダイオード (LED:Light Emitting Diode)
電圧を加えると光を放つダイオードを発光ダイオードという。P型半導体とN型半導体を接合したPN接合を持ち、P型側の陽極(anode:アノード)を正、N型側の陰極(cathode:カソード)を負とする順方向の電圧をかけると、接合面で正孔と電子が結合して発光する。 このような発光現象をエレクトロルミネッセンス(EL:Electro-Luminescence)という。
レーザーダイオード (LD:Laser Diode)
電流を流すとレーザー光を発振する半導体素子をレーザーダイオードという。
p型半導体とn型半導体を組み合わせた素子で、順方向に電圧を加えるとp型の内部を正孔がn型に向かって、n型の内部を電子がp型に向かって移動する。接合面で電子と正孔が結合する際に発光する。接合面はわずかな厚みを持つ層(発光層、活性層)で、両端が光を反射する材質になっており、発生した光が両端を増幅しながら往復し、レーザー発振が起きる。
発光の原理はLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)と同じだが、LEDは生じた光がそのまま外部に放射されるのに対し、ダイオードでは発光層内を反射して位相の揃ったレーザー光となる点が異なる。
薄膜ダイオード (TFD:Thin Film Diode)
ガラスなどでできた基板の上に、極薄い膜状のダイオードを敷き詰めたものを薄膜ダイオード(はくまくダイオード、TFD:Thin Film Diode)という。
液晶を利用した表示装置などに使われるもので、同じく薄い膜状に形成したトランジスタである薄膜ダイオード(TFT:Thin Film Transistor)とよく比較される。TFD液晶はTFT液晶に比べコストや消費電力では優れたが輝度や色の再現性では劣ったため、TFTの低価格化により次第に廃れていった。
トンネルダイオード (エサキダイオード)
量子トンネル効果を利用したダイオードをトンネルダイオード(tunnel diode)またはエサキダイオード(Esaki diode)という。
順方向に電流を流すと、トンネル効果により、ある電圧領域では電圧をかけるほどに流れる電流量が少なくなるという「負性抵抗」が現れる。これを用いた発振回路や増幅器は従来のトランジスタをはるかにしのぐ優れた性能を発揮する。
1957年に江崎玲於奈氏らが発明したもので、1973年にはその功績に対して、アイバー・ジェーバー(Ivar Giaever)氏、ブライアン・ジョセフソン(Brian D. Josephson)氏と共にノーベル物理学賞が授与された。