CSMA/CD 【Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection】 搬送波感知多重アクセス/衝突検出
概要
CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)とは、通信において単一の伝送路を複数の機器が共用する際、中央で監視・制御する機器がなくても伝送路の使用権を調整できる通信方式の一つ。イーサネット(Ethernet)に採用され広く普及している。データを送信したい端末は回線を流れる信号の状況を監視し、誰も通信していないことを確認したら送信を開始する。このとき、たまたま他の端末が同時に送信を開始した場合、信号が衝突(コリジョン)してデータが破損するため、これを検知したら両者ともに通信を一旦中止する。
その後、どちらもランダムに決めた短時間(実用上は数ミリ秒程度が多い)だけ待ち、送信を再開する。ランダムに決めた待ち時間がまったく同じである確率は低いため、短い待ち時間に決めた方が先行し、もう一方は通信が終わるまで待ってから送信を再開する。
単純な制御方式で効率よく回線を共用できるため、初期のイーサネット(Ethernet)の通信制御方式として採用され、広く普及した。同じ伝送路を共用する機器の数が増えると衝突が頻発して急激に性能が落ちる難点があり、例えば10BASE5では同一セグメントに接続できるのは100台までとなっている。
その後、LANスイッチ(スイッチングハブ)が普及すると各端末はスイッチを相手に通信するようになり、スイッチが信号の転送などの交通整理を行うようになった。信号レベルで他の端末と同じ伝送路を共有するという状況はほとんど無くなり、10Gigabit Ethernetなど新しい規格ではCSMA/CDが正式に仕様から削除されている。
一方、信号の衝突を検知しにくい無線通信ではCSMA/CDの仕組みは有効ではない。無線LAN(Wi-Fi)などでは、伝送路の空き(他の端末による通信の終了)を検知すると必ずランダムな待ち時間を挿入してから送信を開始する「CSMA/CA」(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)を採用している。
(2022.10.5更新)