読み方 : オーエフディーエム

OFDM【Orthogonal Frequency Division Multiplexing】直交波周波数分割多重

概要

OFDMとはデジタル通信で用いられる変調・多重化方式の一つで、ある周波数帯域内に多数のサブキャリア副搬送波)を設けてデータを並列に伝送する方式。周波数分割多重FDM)の発展形にあたり、隣接するサブキャリア同士の位相を互いに直交させることで周波数帯域を効率よく活用できる。
OFDMのイメージ画像

FDMでは搬送波(キャリア)用に割り当てられたまとまった周波数帯域を複数のサブキャリアに分割し、送信・受信や複数の利用者に割り当てて同時に通信する。その際、隣接するサブキャリア間の干渉を防ぐため「ガードバンド」(空き帯域)を設ける必要があり、その分だけ周波数資源が無駄になる。

OFDMでは、隣り合うサブキャリアの位相を90度ずらして直交させることにより、あるサブキャリアの中心周波数において両隣のサブキャリアの信号強度がゼロになるよう設計する。これにより、サブキャリア周波数帯域を互いに重複させても干渉が生じず、ガードバンドを省いた高密度な周波数配置が実現する。

サブキャリア上ではQAM直交振幅変調)やQPSK四位相偏移変調)などのデジタル変調方式データ変調する。送受信の実装には高速フーリエ変換FFT/IFFT)アルゴリズムが用いられ、多数のサブキャリアを効率的に処理できる。基礎理論は1960年代に確立されていたが、高度なデジタル信号処理を要するため、半導体技術が発展した1990年代以降に実用化が進んだ。

無線通信では、電波が建物や地形に反射して異なる経路を経て到達する「マルチパス」(multipath)環境が問題になる。OFDMはデータを多数の低速なサブキャリアに分散して送るため、1シンボルあたりの時間を長く確保でき、マルチパスによる符号間干渉を受けにくい。さらに「サイクリックプレフィックス」(CP:Cyclic Prefix)と呼ばれるガードインターバルサブキャリア間に付加することで、この影響をより効果的に抑制できる。

OFDMは有線ではADSLVDSLなどのxDSL技術や電力線通信PLC)に採用されている。無線ではIEEE 802.11a/g/n/ac/axなど各種のWi-Fi規格、地上デジタルテレビ放送(日本のISDB-T、欧州のDVB-Tなど)、LTEおよび5G NRなどの移動体通信システムで用いられている。

🔰よくある質問

  • OFDMとは何ですか?
    データを多数の細かいサブキャリア副搬送波)に分割して同時に送信する技術です。Wi-FiLTE・5Gなど現代の無線通信規格に広く採用されています。
  • OFDMはなぜ多くの規格で採用されているのですか?
    「マルチパスフェージング」と呼ばれる電波の反射・干渉に強い特性を持つためです。建物の多い環境では電波が様々な経路で届きますが、OFDMサブキャリアを細かく分割することでこの影響を受けにくくなっています。周波数の利用効率が高い点も評価されています。
  • 「直交」とはどういう意味ですか?
    隣り合うサブキャリア同士の位相が90度ずつずれている関係にあることを指します。通常の周波数分割では各チャンネル間に「ガードバンド」と呼ばれる隙間が必要ですが、直交性を利用することでサブキャリアを重ねて高密度に配置でき、限られた周波数帯域を効率よく活用できます。
  • OFDMOFDMAは何が違いますか?
    OFDMAOFDMを発展させた多元接続方式です。OFDMが一度に一つの端末と通信するのに対し、OFDMAは複数のサブキャリアを複数の端末に割り当てて同時通信できます。Wi-Fi 6IEEE 802.11ax)や5GのNR規格ではOFDMAが採用され、多数の端末が接続する環境での効率が向上しています。
  • OFDMに弱点はありますか?
    送信側と受信側の周波数がわずかにずれる「周波数オフセット」の影響を受けやすい点が挙げられます。また、サブキャリアを合成した信号は瞬間的に振幅が大きく変動するPAPR(ピーク対平均電力比)が高くなりやすく、送信アンプの効率が下がる課題があります。
(2026.6.15更新)
 

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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