ISAバス 【Industrial Standard Architecture】 ISAスロット

概要

ISAバス(Industrial Standard Architecture)とは、コンピュータ内部で拡張カードなどを接続する共用のデータ伝送路(バス)の標準仕様の一つで、初期のPC/AT互換機で標準的に用いられていたもの。ISA接続の拡張スロットをISAスロットという。

1984年にIBM社が発売したPC/ATの仕様は業界標準として他社も採用するようになり、ISAバスも同機でATバスとして搭載されていた汎用バスの仕様を標準化して他社が利用するようになったものである。厳密にはオリジナルのATバスと各社のISAバスにはわずかに仕様の相違がある。

バス幅は16ビットで標準では8MHz駆動、最大データ伝送速度は8MB/sメガバイト毎秒)だった。拡張カードを接続するためのバスとして広く普及し、パソコンマザーボードの多くには98ピンのISAスロットが数基搭載された。これは62ピンと36ピンに別れた構造になっており、62ピン側は前身の8ビットバスであるXTバス(IBM PC/XTに搭載されたバス)と同じ仕様になっている。

ISAという名称は1988年に32ビット拡張されたEISA(Extended ISA)規格が策定された際にさかのぼって名付けられたもので、当初はISAとは呼ばれていなかった。ISAは1990年代前半を中心に広く普及したが、1990年代後半に32ビットバスのPCIに取って代わられレガシーデバイスとなり、2000年代初頭には姿を消した。

EISA (Extended Industrial Standard Architecture/EISAバス/EISAスロット)

パソコン向けの32ビット汎用バス規格の一つで、ISAバスの仕様を元にバス幅32ビット拡張したもの。米インテルIntel)社や当時のコンパック・コンピュータ(Compaq Computer)社などが主導して策定された。

ISAバスとの互換性を重視した設計だが、32ビット化により最高速度が33MB/sに引き上げられている。EISAスロットの形状とピン数はISAと同じ98ピンで、スロットの奥行き方向に2段のピンを配置した構造となっている。EISAカードは深く挿して2段すべての端子で通信するが、ISAカードも同じスロットにそのまま(浅く)挿入して使用することができる。

IBM社が独自に策定したMCAバス(Micro-Channel Architecture)に対抗してPC/AT互換機陣営が推進していたが、いずれもあまり普及せず、32ビット汎用バスIntel社開発したPCIバスPeripheral Component Interconnect)が標準となった。

(2018.9.7更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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