上位互換【downward compatible】アッパーコンパチブル
概要
ある製品Aが、別の製品Bと共通の外部接続仕様などを持ち、Bの代わりとして使えることを「AはBと互換性がある」という。AとBが共に同じ系列の製品で、Aが高いグレードのモデル、Bが下位モデルであるとき、「AはBの上位互換である」という。
例えば、ソフトウェア製品のフル機能版が、同じ系列の廉価版製品の機能を利用できたり、同じデータ形式を扱うことできるような状況を意味する。同じメーカーの同系列の製品でなくても、他社の競合製品の上位モデルが互換性を持っている場合などに上位互換ということがある。
これに対し、下位の製品が上位の製品に対して互換性があることを「下位互換」(upward compatible)という。通常、上位の製品は下位の製品の機能をすべて持った上で追加の機能を持っていることが多いため、上位互換は完全な互換性(完全互換)であることが多い一方、下位互換は仕様の一部分、限定的な互換性であることが多い。
後方互換との違い
新しい製品が同系列の古い製品の互換になっていることは「後方互換」(backward compatible)という。多くの場合、同じシリーズの新製品は旧製品より機能や性能が充実しているため、後方互換の意味で上位互換と言うこともある。しかし、厳密には比較の対象が上下と新旧で異なっている。
製品以外の用例
俗に、ゲームなどの創作物でキャラクターやアイテムなどを比較して「AはBの要素や特性をすべて備えた上でさらに優れている」という意味で「AはBの上位互換だ」のように表現することがある。こうした表現を実在の人物や組織、施設などを評する際に用いる人もいる。
日本語と英語の違い
なお、「上位製品が下位製品に互換性を持つ」状態を、日本語では「製品が上位である」ことに着目して「上位互換」と呼んでいるが、英語では「下位製品に対して互換性を持つ」ことに着目して “downward compatiple” (下位への互換)と呼ぶ。一見、「上位」と “down” の字面が逆の印象を与えるため注意が必要である。
