パラレルポート【parallel port】
概要

パラレル方式は、複数の信号線を並列に用いて一度に複数ビットのデータを同時に送受信する伝送方式である。単に「パラレルポート」という場合は、パソコンで広く採用されていたセントロニクス仕様、あるいはその後継にあたるIEEE 1284規格の端子を指すことが多い。
セントロニクス仕様は1970年代にプリンタメーカーの米セントロニクス(Centronics)社が策定したもので、8本のデータ線を用いて1回の転送処理で8ビットのデータを同時に送ることができる。最大伝送速度は数百kbps程度であり、パソコン側にはD-Sub25ピンのコネクタ、機器側にはアンフェノール36ピンのコネクタが用いられた。
IEEE 1284はセントロニクス仕様を国際標準として整備した規格で、従来の一方向通信に加えて双方向通信や高速転送モード(EPPおよびECP)を追加し、最大転送速度を数Mbps程度まで引き上げた。これにより、プリンタからのステータス情報の取得や、外付けフロッピーディスクドライブ(FDD)などの接続にも対応できるようになった。
同時代のシリアルポート(RS-232C等)と比較すると、コネクタが大きくケーブルも太いものの伝送速度は高速であったため、印刷データのように大量のデータを扱うプリンタやイメージスキャナの接続に適していた。一方で、複数の信号線間で生じるタイミングのずれ(スキュー)や相互干渉の影響を受けやすく、更なる高速化や接続距離の延長には技術的な限界があった。
2000年代以降、パラレル方式の高速化が困難になる一方でシリアル方式の技術は進歩を続け、プリンタをはじめとする周辺機器の接続は「USB」(Universal Serial Bus)へと移行した。現在の一般的なパソコンにパラレルポートが搭載されることはほとんどなく、古いプリンタや産業用機器、計測機器などとの接続が必要な場面では、拡張カードや変換アダプタを介して接続される。