リーク電流 【leakage current】 漏れ電流
概要
リーク電流(leakage current)とは、電子回路の内部で、本来電流が流れない絶縁された箇所から漏れ出るように電流が流れる現象。回路の誤作動や消費電力・発熱量などの性能の劣化の原因となる。素子や配線の製造時の欠陥により電流が漏れ出てしまう場合もあるが、正しく製造されていても量子トンネル効果により絶縁膜などを超えてリーク電流が生じる場合がある。この効果は原子レベルの微細な世界において確率的に生じるもので、加工の微細化によって配線などの導体同士が近づくほど(間を隔てる絶縁体が薄くなるほど)急激に大きくなる。
半導体チップに生じるリーク電流には、ゲート絶縁膜を通り抜けて基板(シリコン等)からゲートへ流れるゲートリーク電流、トランジスタのしきい値(スレッショルド)電圧の低下によりソースとドレイン間で電流が漏れるサブスレッショルドリーク電流、ドレインやソースと基板の間に生じる接合リーク電流などがある。
リーク電流が増大すると素子に誤った信号が伝わり誤作動の原因となるほか、本来回路の動作に必要な電力を超える電力量が消費されるようになる。発熱も増大するため熱暴走や回路の劣化や破損の原因となることもある。
半導体製造技術では回路の微細化、素子の集積度の向上が急速に進んでおり、2000年代半ば以降は配線の幅(プロセスルール)がナノメートル単位にまで至っており、リーク電流が微細化の進展や性能向上を阻む大きな要因となっている。
(2018.11.9更新)