読み方 : エーディーコンバータ

A/Dコンバータ【ADC】Analog-to-Digital Converter

別名  :A/D変換器/アナログデジタル変換器/ADコンバータ/AD変換器

概要

A/Dコンバータとは連続的に変化するアナログ信号を、コンピュータなどで処理可能なデジタル信号へ変換する電子回路。音声や光、電波など様々なアナログ情報デジタル機器に取り込む際に用いられ、多くの電子機器に内蔵されている。
A/Dコンバータのイメージ画像

まず、アナログ信号の大きさを一定の時間間隔で測定する「標本化」(sampling:サンプリング)が行われる。単位時間当たりの標本化の回数は「サンプリング周波数」(サンプリングレート)と呼ばれ、値が高いほど信号の変化を細かく追跡できる。

続いて、読み取った値を決められた段階の数値に割り当てる「量子化」(quantization)が行われる。各標本値を表現するビット数は「量子化ビット数」または分解能と呼ばれる。これらの値が大きいほど元のアナログ波形を精密に再現できるが、その分データ量や回路の処理負荷も増加する。

量子化nビットの場合、入力信号は2のn乗段階に区分される。例えば、12ビットであれば4,096段階、16ビットであれば65,536段階で信号を表現できる。量子化の際には実際の信号値と変換後の数値との間に「量子化誤差」(quantization error)と呼ばれるずれが生じるため、アナログ波形を完全に再現することはできない。

音声や光、温度、圧力、位置、電波など現実世界の多くの情報はアナログ量として得られるため、デジタル機器で処理するにはA/Dコンバータによる変換が必要となる。マイクが拾った音声信号はA/Dコンバータデジタル化され、録音や音声認識などの処理に利用される。カメラのイメージセンサーが捉えた光の情報も同様にデジタル化され、画像や映像として記録される。

A/Dコンバータは変換方式によって逐次比較型(SAR型)、フラッシュ型、デルタシグマ型(ΔΣ型)などの種類があり、速度や精度の要求に応じて使い分けられる。性能は分解能のほか、変換速度や変換精度といった指標でも評価される。スマートフォンデジタルカメラ、音響機器、計測機器、通信機器、産業用制御装置など様々な機器の入力部に組み込まれており、センサー技術を用いるIoT機器においても不可欠な部品となっている。

これとは逆に、デジタル信号を元にアナログ信号を生成する電子回路は「D/Aコンバータ」(DAC:Digital-Analog Converter)と呼ばれる。デジタルデータとして記録された音声や映像をスピーカーやディスプレイで再生する際には、このDACによる変換が行われる。両者は音響機器や通信機器などにおいて、入力と出力それぞれを担う対の回路として利用される。

(2026.6.20更新)
 

他の辞典等による「A/Dコンバータ」の解説 (外部サイト)

資格試験などの「A/Dコンバータ」の出題履歴

▼ 基本情報技術者試験
令8修6】 A/D変換器の使用例として,適切なものはどれか。
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。