ハードウェア記述言語 【HDL】 Hardware Description Language

概要

ハードウェア記述言語(HDL)とは、半導体チップの回路設計を行うための人工言語。プログラミング言語に似た構文や表記法を用いて、回路に含まれる素子の構成や各素子の動作条件、素子間の配線などを記述することができる。

従来の手作業による回路図の設計では、時間や手間がかかり、ヒューマンエラーのリスクも存在するが、ハードウェア記述言語を用いることで、回路設計の自動化や検証が容易になり、設計ミスの削減が期待される。

また、ハードウェア記述言語を活用することで、設計者はシミュレーションを通じて回路の動作を確認し、最適化を行いながら、実際の製造工程に進むことができる。回路設計の効率を大幅に向上させるため、特に複雑な回路や大規模なシステムの設計において重要な役割を果たす。

回路設計の記述が完了した後は、シミュレータを使用してその動作確認が行われる。次に、言語処理系を利用して「論理合成」(logic synthesis)という処理が実行され、設計が実際の回路図に変換される。この回路図は、FPGAField Programmable Gate Array)などに書き込むことができ、さらにICチップの製造工程にも送られる。

ハードウェア記述言語は設計における柔軟性も提供する。設計者は同じHDLコードを異なるハードウェアプラットフォームに対応させることが可能であり、同じ設計をPLDFPGA、さらにはASICに適用することができる。設計の再利用性が向上し、開発コストや時間の削減にもつながる。現代のチップ設計は大規模化しており、複雑なチップの設計を効率的に進めるために欠かせないツールとなっている。

代表的な言語として「Verilog」と「VHDL」(VHSIC Hardware Description Language)が知られる。両者は仕様や機能が似通っており人気も伯仲しているが、同じ概念に別の名前がついていたり、仕様や記法が大きく異なる部分がある。

(2025.2.5更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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