ライトバックキャッシュ 【write-back cache】

概要

ライトバックキャッシュ(write-back cache)とは、CPU(マイクロプロセッサ)のキャッシュメモリの動作方式の一つで、CPUメインメモリ(RAM)へデータを書き込む際、一旦キャッシュに書き込みを行い、その内容が消される寸前にメモリへの移し替えを行う方式。

キャッシュメモリCPUに内蔵された記憶装置で、容量は少ないがメインメモリよりも極めて高速に読み書きできる。直近に利用したメモリ上の内容の一部を複製しておくことで、次に必要になったときにメモリから読み直すよりも素早く取り出すことができる。

ライトバックキャッシュではメモリへの書き込み処理が発生するとキャッシュにのみ書き込む。その後、キャッシュに新しいデータが追加されていき、書き込んだ内容が追い出される寸前にメモリへの書き出しを行う。制御が複雑でキャッシュメモリ整合性を維持するのも難しくなるが、メモリへの書き込み頻度を抑えることができるため動作の高速化を図ることができる。

なお、1次キャッシュと2次キャッシュなど多段階のキャッシュが実装されている場合に、一旦上位のキャッシュにのみ書き込みを行い、後で下位のキャッシュへ移し替える方式を指してライトバックキャッシュという場合もある。

これに対し、書き込み時にキャッシュメモリの両方に常に同時に同じ内容を書き込む方式を「ライトスルーキャッシュ」(write-through cache)という。ライトバックキャッシュより実装が容易で内容の整合性も取りやすいが、メモリへのアクセス頻度が多く性能は低い。

(2024.1.19更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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