リチウムイオン電池 【lithium ion battery】 Li-ion電池

概要

リチウムイオン電池(lithium ion battery)とは、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電をう2次電池。エネルギー密度が高く、高電圧が得られるため、携帯情報機器や電気自動車など様々な機器に幅広く応用されている。

電極材料には様々なものが使われるが、正極にコバルト酸リチウム(LiCoO2>)、負極に炭素(グラファイト)を用いることが多い。正極板と負極板をセパレータを挟んで何層も積み重ね、全体を有機溶媒の電解質で満たした構造になっている。

数百回から数千回の充放電に耐え、長期間使用することができる。高速充電が可能で、幅広い温度帯で安定して放電する。放電しきらずに充電すると充電容量が減ってしまう「メモリー効果」がほとんど無く、継ぎ足し充電を頻繁にう機器や用途に向いている。使わずに放っておくと少しずつ放電してしまう自己放電も少ない。

ただし、満充電状態で保存すると急激に劣化し、充電容量が大幅に減ってしまう。また、極端な過充電や過放電により電極が不安定な状態になり激しく発熱するため、破裂や発火の危険がある。これを防ぐため、リチウムイオン電池製品は単三型充電池のような電池単体では提供されず、電圧などを厳密に管理する制御回路と過充放電を防ぐ保護機構を組み込んだバッテリー部品としてしか販売されない。

現在実用化されている2次電池の中では最もエネルギー密度が高く、ノートパソコンスマートフォン、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車、ドローンなどのバッテリーとして広く普及しているが、粗悪品や破損・衝撃による爆発、発火、火災事故も増えている。

リチウムポリマー電池 (LiPoバッテリー)

リチウムイオン電池の電解質にゲル状の高分子ポリマー(重合体)を利用したものを「リチウムイオンポリマー電池」、あるいは略してリチウムポリマー電池、LiPoバッテリー(リポバッテリー)などという。

通常のリチウムイオン電池は電解質に液体を用いるが、リチウムポリマー電池は液体の電解質をポリマー内に固着させ、ゼリー状の流動性を持つ固体と液体の中間的な状態になっている。

動産原理や特性、性能は通常のリチウムイオン電池とほぼ同様だが、液体を使わないため液漏れの危険がなく、形状の自由度が大きいという特徴がある。搭載スペースの形状が不規則で余裕のない携帯情報機器などでよく用いられる。

(2018.11.29更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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