ARM
概要
ARMとは、マイクロプロセッサの設計などを行なうイギリス企業。また、同社によるマイクロプロセッサの設計(アーキテクチャ)や、それに基づくプロセッサ製品などの総称。2016年以降はソフトバンクグループ傘下となっている。同社自身はICチップの製造・販売などは行わず、設計情報をチップメーカーに提供し、製品の販売額などに応じたライセンス料を得るユニークな事業モデルを採用している。
主にマイクロプロセッサを動作させるための命令語の体系(命令セット)を開発しており、これを採用したプロセッサ設計は「ARMアーキテクチャ」「ARM系プロセッサ」と総称される。
命令の数が少なくほとんどが同じ長さである「RISC」(Reduced Instruction Set Computer)型と呼ばれるシンプルな仕様が特徴で、社名の由来(ARMは “Advanced RISC Machines” の略)ともなっている。近年では豊富な機能を持つCISC型の特徴も取り入れつつある。
ARM系プロセッサは消費電力が少なく比較的シンプルな構造が特徴で、メーカーが異なっていても命令セットを共有しているため、ソフトウェアの互換性を確保することは比較的容易である。産業機器や家電製品などの一部として組み込まれるコンピュータシステム(組み込みシステム)の心臓部として人気が高い。
マイクロプロセッサ市場のうち、パソコン向けは米インテル(Intel)社のx86/x86-64系プロセッサと各社の互換製品が現在も主流だが、スマートフォンやタブレット端末向けでは同社との競争の末、市場の大半をARM系製品が占めるに至った。同様にIntel系製品の強かったサーバ市場でも、サーバ向けに特化したARMプロセッサが開発され、電力効率を重視するデータセンター事業者などに高く評価されている。
(2020.4.14更新)