全加算器 【full adder】 フルアダー / 全加算回路

概要

全加算器(full adder)とは、2進数の加算(足し算)を行う論理回路(加算器)のうち、下の桁からの繰り上がりを考慮し、3つの数の和を求める回路のこと。複数桁の加算機の構成要素となる。

加算を行う回路を加算器というが、全加算器は2つのビット列の同じ桁の値と、隣の下位桁からの繰り上がりを加算し、その桁の加算後の値と、上位桁への繰り上がりの有無を表す「キャリー」(carry out)の2つを出力する。キャリー出力は繰り上がりがなければ「0」、あれば「1」となる。

加算する3つの値の「0」と「1」の組み合わせにより「00」から「11」までの8種類の和が得られるが、下位ビットがその桁の値として、上位ビットが上位桁へのキャリーとして出力される。キャリーは隣の上位桁の全加算器に入力される。

一方、下位桁からの繰り上がりを考慮せず、単純に2つの値の和を求める回路を「半加算器」(half adderハーフアダー)という。繰り上がりのない最下位桁の和を求めるのに使われる。全加算器は半加算器2つとOR回路1つを組み合わせて構成することができる。

最下位桁に半加算器を置き、各桁についての全加算器を桁の数だけ並べて連結すると、複数桁の2進数の加算を行う論理回路を構成することができる。例えば、半加算器1つと全加算器7つを並べれば8ビットの全加算器となる。

(2023.8.22更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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