DRAM 【Dynamic Random Access Memory】 ダイナミックRAM / Dynamic RAM
概要
DRAM(Dynamic Random Access Memory)とは、半導体素子を利用した記憶装置の一つで、記憶内容の維持のために繰り返し再書き込み動作を行う必要があるタイプのもの。低コストで大容量の製品を製造できるため、主にコンピュータの主記憶装置(メインメモリ)として用いられる。DRAMは半導体メモリのうち、通電をやめると記憶が失われる「揮発性メモリ」(volatile memory)に分類される。書き込みや消去を電気的に繰り返し行うことができる「RAM」(Random Access Memory)の一種である。
コンデンサ(キャパシタ)とトランジスタを組み合わた記憶素子(メモリセル)を利用して、電荷が蓄えられた状態をデジタルデータの「1」に、失われた状態を「0」に対応付けて記憶を保持する。ICチップ内に大量のメモリセルが碁盤目状に敷き詰められて提供される。
蓄えられた電荷は放っておくと徐々に失われていくため、読み出しや書き込みの動作とは別に、毎秒数回程度の短い周期で各素子のデータを読み出して同じデータを再度書き込み直す「リフレッシュ」(refresh)と呼ばれる動作が必要となる。これは装置に内蔵された制御回路により自動的に行われる。
何もしなくても記憶が維持されリフレッシュ動作が不要な「SRAM」(スタティックRAM)に比べ、読み書きが遅く、リフレッシュ動作の分だけ消費電力が大きいという欠点があるが、個々の素子の回路構造が単純で集積密度を向上(大容量化)しやすく、容量あたりの製造コストを下げやすい。
素子の動作速度よりも価格や容量が重視される用途で用いられ、コンピュータのメインメモリ用途として広く普及している。「DDR SDRAM」などの標準規格も策定され、パソコンでは複数のDRAMチップを小さな電子基板に実装した「メモリモジュール」をマザーボードに差し込んで使用する。
1960年代に米IBM社の研究所で発明され、当初は動作原理が特許で保護されていた。1970年代に本格的に量産、実用化され、半導体の微細化に伴い急激に容量の増大、容量単価の減少が進んだ。現代ではあらゆる電子機器に必須の部品であり、最も大量に生産される半導体製品の一つとなっている。