正孔 【electron hole】 ホール

概要

正孔(electron hole)とは、半導体などの結晶構造の中で、価電子の一部が欠落して穴のようになっている箇所のこと。物質中で正(+)の電荷を運ぶ担体(キャリア)のように振る舞う。

シリコン(Si:ケイ素)などの4価の元素に、ホウ素(B)やアルミニウム(Al)などの3価の元素を微量に添加して結晶を作ると、両者の共有結合に電子が一つだけ欠けた不完全な箇所が生じる。これが正孔で、ここに周辺の結合を形成している価電子が落ち込み、その電子が元いた場所が新たな正孔となる。この過程を順送りに繰り返すことで、あたかも正孔が物質内を一方向に移動しているように振る舞い、正の電荷を運搬することができる。

半導体は材料となる物質や添加物の種類によって内部の構造が異なり、自由電子が負(-)の電荷を運ぶタイプのものを「n型半導体」、正孔が正の電荷を運ぶタイプのものを「p型半導体」という。

(2020.7.4更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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