FPGA 【Field Programmable Gate Array】

概要

FPGA(Field Programmable Gate Array)とは、内部の論理回路の構造を何度も繰り返し再構成できる半導体チップ(PLDProgrammable Logic Device)のうち、回路規模が数万ゲート以上に及ぶ大規模で複雑なもの。

通常のIC/LSIでは、設計者が作成した回路図に基いて製造時に固定的に論理回路を形成し、製造後にこれを変更することはできないが、FPGAは製造後に外部から設計情報を送り込んで任意の論理回路を構成することができる。何度も繰り返し書き換えて動作を変更することもできる。論理回路設計には「VHDL」や「Verilog HDL」など、通常のIC設計にも使われるハードウェア記述言語HDLHardware Description Language)が用いられることが多い。

FPGAに特定の処理を実装すると、汎用マイクロプロセッサを用いてソフトウェアにより同じ処理をう場合に比べ圧倒的に高速に実行することができる。また、一つのチップ内に独立に動作する複数(しばしば多数)の回路ブロックを設けることで、汎用チップでは大規模なシステムが必要となる極めて並列度の高い処理も比較的容易に実装できる点も大きな特徴である。

特定の処理を実行する論理回路実装したICチップには「ASIC」(Application Specific IC)もあるが、これは製造時に固定的に回路を形成するもので、消費者向け電子機器など大量生産する場合には一個あたりの製造コストはASICの方が低くなるが、例えば企業内の特定の業務のために数十台、数百台のコンピュータに組み込むといった用途ではFPGAのほうが低コストとなる。

また、FPGAは回路データを作成すれば即座にチップ実装して実行してみることができるが、ASICは通常の半導体製造工程で生産されるため設計が完了してから製品が完成するまで最短で数週間かかるという違いもある。電子製品の開発・試作段階ではFPGAを用い、本生産時には同じ回路設計でASICを製造するといった使い分けがわれることもある。

プログラム可能な半導体チップは1970年代から研究・開発されてきたが、現在FPGAとして分類される製品群の直接の祖とされる製品は1985年にザイリンクス(Xilinx)社が発売したXC2064であると言われる。同社はFPGA市場の先駆者として長年トップシェアを誇り、ライバルのアルテラ(Altera)社(2015年にマイクロプロセッサ大手のインテル社が買収)と市場を寡占してきた。

(2018.2.17更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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