ファウンドリ 【foundry】
半導体チップ(IC:集積回路)の工場には、製造時の塵などの混入による不良化を抑えるため高度に清浄化されたクリーンルームが必要で、製造設備も高価なため、最小規模の工場であっても巨額の投資を必要とするという事情がある。
1980年代までは日米欧などの大手メーカーが自社工場で自社製品を生産する他の工業製品と変わらない生産体制が主流だったが、1990年頃から他社の設計した半導体チップの生産を請け負う専業の企業が現れるようになり、業績不振の大手メーカーの工場を引き取るなどして急成長していった。このような専門企業のことをファウンドリ企業あるいは略して単にファウンドリと呼ぶ。
ファウンドリ専業と対比する文脈では、自社工場を持つ大手メーカーなどのことを「IDM」(Integrated Device Manufacturer)と呼ぶことがある。また、自社工場は持たずに半導体製品の企画・開発や販売に専念し、製造はすべてファウンドリに委託するという新たな業態が生まれ、「ファブレス企業」(fabless company)あるいは略して単にファブレスと呼ばれている。
2000年代以降、製造プロセスの微細化に伴い半導体工場への投資額は膨大になり、相対的に小規模なメーカーは苦境に立たされることになった。従来メーカーが工場をファウンドリへ売却したり、ファウンドリ間での合併や買収などの動きが相次ぎ、世界的大手による寡占化が進みつつある。
近年ではIDMを含む半導体生産全体では台湾TSMC(台湾積体電路製造)、米インテル(Intel)、韓国サムスン電子(Samsung)の3社の規模が飛び抜けて大きい。ファウンドリ専業としてはTSMCに加え、台湾UMC(聯華電子)、米グローバルファウンドリーズ(GLOBALFOUNDRIES)、中国SMIC(中芯国際集成電路製造)などもある。