DSP 【Digital Signal Processor】 デジタルシグナルプロセッサ
概要
DSP(Digital Signal Processor)とは、マイクロプロセッサの一種で、デジタル信号処理に特化した機能を持つもの。通信機器などリアルタイムに信号処理を行う必要がある機器に内蔵される。音声や電波などのアナログ信号から変換されたデジタル信号の処理を高速に行うことを目的とする集積回路(IC)で、大量のデータに同じ演算を同時に実行するSIMD(Single Instruction Multiple Data)、信号処理で多用される積和演算(乗算一つと加算一つを組み合わせた計算)を高速に実行するための回路、特殊なメモリアドレス指定方式(アドレッシングモード)、繰り返し(ループ)処理を高速化する回路などを備えている。
多くのDSP製品は汎用プロセッサ製品とは異なり、データ用のメモリ装置とプログラム用のメモリ装置が分離しており、それぞれ独立した伝送路(バス)で結ばれた「ハーバードアーキテクチャ」と呼ばれる特殊な構成を採用している。大量のデータを高速に読み書きすることができる。
無線通信などでリアルタイムに信号変換・処理を行う機器で利用されることに特化した設計となっており、仮想記憶など汎用プロセッサで一般的な機能でも、処理時間や遅延時間が予測困難になるものは省略されている。コンピュータのCPUとして使用することは想定されていない。
DSPでなければできない処理は基本的には存在せず、CPUなどでも同じ処理を実行可能だが、DSPはCPUのように並行して動作している他のプログラムの影響を受けず、また、信号処理における性能あたりのコストや消費電力が大幅に低い。このため、計算資源やコストの制約が大きい通信機器や携帯機器、デジタル家電など、汎用コンピュータ以外の電子製品で特に重宝される。
近年では、3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)で必要な大量の数値計算を高速化するために進化したGPU(Graphics Processing Unit)がグラフィックス処理以外にも用途を拡大しており、DSPは産業機器や携帯機器などの組み込み機器向けの低消費電力に注力した製品が主流となっている。
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
- ウィキペディア 「デジタルシグナルプロセッサ」
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