クアッドコアCPU 【quad-core CPU】 4コアCPU / 4-core CPU
概要
クアッドコアCPU(quad-core CPU)とは、一つの半導体パッケージにマイクロプロセッサ(MPU/CPU)の演算・処理回路であるプロセッサコアを4つ集積し、それぞれ独立に稼働させることができるもの。複数のコアを一つのプロセッサに組み込むマルチコアプロセッサ(multi-core processor)の一つ。プロセッサコアはCPUの心臓部で、メインメモリからコンピュータプログラムを読み出して解釈や実行を行うことができる。クアッドコアCPUには同じ設計の独立したコアが4基内蔵されており、それぞれが別のプログラムを同時に実行することができる。プログラム側は特別な対応は必要ないが、OS側にはクアッドコアを認識してそれぞれにプログラム実行を割り当てる対応が必要になる。
互いに依存関係にない4つのプログラムを同時に実行するような場合にはシングルコアプロセッサ(コアが1つ)に比べ4倍近く、デュアルコアプロセッサ(コアが2つ)に比べ2倍近くの性能を発揮できるが、コア以外の回路やデータ伝送路の一部は共用であるため、実際にその通りの性能が発揮できる場面は多くない。
米インテル(Intel)社のハイパースレッディング(Hyper-Threading)のように一つのコアで仮想的に2つのスレッドを並行に実行する同時マルチスレッディング(SMT:Simultaneous Multi-Threading)技術に対応している場合には、計8スレッドを同時に実行状態に置くことができ、各コアが単一スレッド型の場合に比べ最高で2~3割程度の性能向上が期待できる。
初期にはコアが2つあるデュアルコアプロセッサの半導体ダイ(チップ)を一つのCPUパッケージに集積する手法が用いられることもあったが、その後は単体のプロセッサコアを一枚のダイに4つ集積する設計が主流となっている。
同一のCPUをコンピュータに4基搭載するクアッドプロセッサ(quad-processor)方式と比べると、主基板(マザーボード)側の制御回路やデータ伝送路などは簡素で低コストになるが、共用部分の多いクアッドコアの方が性能は上げにくい。
x86系プロセッサで初めてクアッドコア設計を採用したのは2006年末に米インテル(Intel)社が発売したパソコン向けのCore 2 Extremeとサーバ向けのXeon 5300で、2007年初頭に米AMD社がクアッドコアOpteronで続いた。その後は技術の進歩とともにプロセッサコアの集積度も上がり、6コアのヘキサコア(hexa-core)、8コアのオクタコア(octa-core)などが登場している。