セルラー方式 【cellular system】 セルラーネットワーク / cellular network
概要
セルラー方式(cellular system)とは、限られた周波数帯で広範囲をカバーすることができる無線通信の方式の一つで、地域を一定の広さの小さな区画に分割し、それぞれの中心に基地局を設けて範囲内の端末と通信させるもの。基地局を核に隙間なく並んだ通信エリアを細胞(cell)になぞらえた名称である。地形や障害物の影響を無視すれば基地局からの電波は同心円状に減衰するため、各基地局は自らを中心とする一定の半径の円の範囲内にある端末と通信することができる。この円形の通信エリアを「セル」(cell)と呼び、これを隙間なく敷き詰めることで、その地域全体に同一の通信サービスを一定の品質で提供することができる。
各セルの辺縁部は近隣のセルの基地局の電波も届くため、隣接する基地局同士は別の周波数帯を用いる必要がある。十分離れたセル同士は干渉しないため、実際には一つおきに同じ周波数を繰り返し再利用することができ、数種類の周波数帯を用意すれば広範囲をカバーすることができる。
セルラー方式は携帯電話(移動体通信)を実現する有力な方式として広く普及したため、アメリカ英語では携帯電話のことを “cellular phone” あるいは “cell phone” という(イギリス英語では “mobile phone” )。
「セルラー」の語は日本でも携帯電話を指す言葉として用いられることがあり、例えばタブレット端末のモデル名でWi-Fiモデルと対比して移動体通信対応のものを「セルラーモデル」と呼んだり、移動体通信事業者の社名などで「○○セルラー」などの名称が採用されることがある。
(2020.8.14更新)