ホールドタイム 【hold time】 ホールド時間
電子回路に信号を入力する際はすべての回路にクロック信号と呼ばれる周期的な信号を与え、その変化に合わせてタイミングを揃える制御が行われる。このとき、クロック信号が回路内で均一に伝わらず、場所によって相対的にわずかに遅れたり早まって到着する「クロックスキュー」(clock skew)現象が生じることがある。
回路間で信号を受け渡しする際、送信側がクロックが変化(立ち上がりあるいは立ち下がり)した瞬間のみ信号を与えると、受信側とクロックのタイミングが合わず信号が正確に伝わらないことがある。
このようなすれ違いを防止するため、クロックが変化した瞬間から一定時間の間、データ信号の状態を維持する必要があり、その最低限の時間の長さをホールドタイムという。逆に、クロックが変化する以前にあらかじめデータ信号を流しておかなければならない最小時間のことは「セットアップタイム」(setup time:セットアップ時間)という。
例えば、セットアップタイム、ホールドタイムが共に30ナノ秒、クロック信号の立ち上がり時間を20ナノ秒であるような回路にデータを入力する場合、送信側はセットアップタイム、クロック信号の立ち上がり時間、ホールドタイムの合計80ナノ秒間に渡って受け渡したいデータを信号線上で保持しておく必要がある。
(2020.4.29更新)