読み方 : じゆうでんし
自由電子【free electron】
概要
自由電子とは、物質内で特定の原子に束縛されず自由に動き回ることができる電子のこと。金属など導体には豊富に存在して電気や熱をよく通す性質をもたらし、ゴムやガラスなど絶縁体にはほとんど存在しないため電流が流れない。半導体ではその数を人為的に制御できる。

物質を構成する電子の多くは原子核の周囲に束縛されているが、金属では最外殻の価電子が個々の原子に属さず、結晶全体に広がった状態となる。金属の原子は電子を放出して陽イオンになりやすく、放出された価電子が結晶内を自由に動き回ることで電流が生じる。これが金属が導体である根本的な理由である。
外部から電圧を加えると自由電子は一定の方向へ移動して電流を形成し、熱エネルギーも効率よく伝えるため、金属の電気伝導率と熱伝導率は共に高い。金属特有の光沢も、自由電子が光を吸収・再放出することによって生じる現象である。一方、ゴムやガラス、プラスチックなどの絶縁体では価電子が原子や化学結合に強く束縛されており、自由電子がほとんど存在しないため電流も流れにくい。
半導体は導体と絶縁体の中間の電気的性質を持つ物質で、自由電子の量を人為的に制御できる。シリコン(ケイ素、Si)やゲルマニウム(Ge)などの4価の元素で構成される純粋な結晶は自由電子が少ないが、リン(P)やヒ素(As)といった5価の元素を微量に添加すると、結合に使われない余剰の電子が生じて結晶内を自由に動き回るようになる。この余剰電子が負の電荷を運ぶ担体(キャリア)として機能する半導体を「n型半導体」と呼ぶ。逆に、ホウ素(B)など3価の元素を添加すると電子が不足した正孔(ホール)がキャリアとなる「p型半導体」が得られ、n型とp型を組み合わせることでダイオードやトランジスタなどの電子部品を構成することができる。
(2026.7.13更新)