ダイナミックレンジ 【dynamic range】

概要

ダイナミックレンジ(dynamic range)とは、音響や映像、画像などにおける信号の大きさの範囲を表す指標で、最大値と最小値の比率のこと。デシベル(dB)単位で表すことが多い。

記録物について用いる場合は含まれる信号の最大値と最小値の比率、機器や回路、信号線などについて用いる場合は正しく取り扱うことのできる最大値と最小値の比率を表す。

音声・音響機器

音響の場合は音量の最大値と最小値の比率を意味し、人間の耳が感じ取れる音のダイナミックレンジは個人差もあるが120dB程度とされる。FMラジオ放送が再現可能な範囲は60dB程度、CD音楽CD)が再現可能な範囲は96dB程度と言われる。

画像・映像機器

画像や映像の場合は明るさの最大値と最小値の比率を表し、コントラスト比contrast ratio)とも呼ばれる。dB単位ではなく10000:1といった比で表記したり、104といった指数表記が用いられることがある。

人間の肉眼は周囲の明るさに応じて瞳孔を開閉するなどの機構があるため単純には言えないが、ある瞬間に識別できるダイナミックレンジは105~106程度、知覚できる光の範囲自体は1012とも1014とも言われる。

デジタルカメラ撮像素子液晶ディスプレイなどが扱える範囲は103~104程度のものが多く、肉眼できれいに見える光景でも、撮影あるいは表示をうと明るい部分が白く飛んでしまったり(白飛び)、暗い部分黒く潰れてしまったり(黒潰れ)することがある。

電子機器でも肉眼のように高コントラスト比の画像を扱えるよう、明所と暗所を異なる設定で撮影し、ソフトウェアによって合成して出力するHDRHigh Dynamic Rangeハイダイナミックレンジ)と呼ばれる手法が普及している。

(2018.10.22更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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