フェージング 【fading】 衰調 / フェーディング
概要
フェージング(fading)とは、携帯電話など移動体による無線通信において、通信途中に電波の受信レベルが変動する現象のこと。通信品質が下がったり途絶する原因となる。無線通信に用いる電波は電磁波の一種だが、地上付近の空間中を発信源から受信アンテナまで伝播する途中で、大気による吸収や物体による反射など様々な現象が起きる。発信側と受信側の位置関係や経路上の状況の変化により、受信レベルが変動することをフェージングという。
変動が起こる原因により、干渉性、偏波性、跳躍性、吸収性、選択性、K形など様々な種類に分類される。携帯電話などで特に問題となるのが干渉性フェージングで、地形や障害物による電波の回折や反射で複数の到達経路(マルチパス)ができ、無線機の移動に伴ってそれぞれの経路長が変化することで生じる。これは「マルチパスフェージング」とも呼ばれる。
無線機では干渉性フェージングの影響を軽減するため、電波を受信する際に特性の異なる複数のアンテナを同時に使い、電波状況が優れたものを選択して切り替えたり、信号を合成してノイズを除去したりする「ダイバーシティ」(diversity)技術が用いられる。
(2025.8.10更新)