レイク受信【rake reception】
レイク受信とは?

電波は空中を伝搬する過程で、建物や地形などに当たって反射・回折し、受信機には直接波のほか、異なる経路を経た遅延波が重なって届く。この現象を「マルチパス」(multipath)といい、到達時間や位相の異なる複数の信号が干渉し合うことで「マルチパスフェージング」(multipath fading)現象が発生する。フェージングは受信信号の強度変動や波形の歪みを引き起こし、通信品質の低下や切断の原因となる。
レイク受信では、受信機内部に「フィンガー」(finger)と呼ばれる複数の相関器を備え、各フィンガーが異なる遅延時間を持つパスの信号を個別に捕捉・処理する。それぞれの信号の遅延量と位相を推定して補正した上で合成することで、フェージングによる乱れを打ち消しつつ信号強度を高める。
この合成には「最大比合成」(MRC:Maximal Ratio Combining)と呼ばれる手法が用いられ、信号品質の高いパスを大きく反映させることで受信性能をさらに向上させる。直接波のみを利用する場合と比べてノイズ耐性が高く、見通しの悪い屋内や市街地でも安定した通信品質を維持できる。
レイク受信はCDMAベースの移動体通信システムと特に相性がよく、第3世代携帯電話(3G)の「W-CDMA」や「CDMA2000」において広く用いられた。CDMAでは拡散符号を利用して到達時間の異なるパスを識別しやすく、レイク受信による合成処理が効果的に機能する。第4世代(4G)以降の携帯電話システムや近年の無線LANでは、複数アンテナを用いる「MIMO」(Multiple Input Multiple Output)や「OFDM」(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が主流となっているが、マルチパスを劣化要因としてではなく有効な信号源として活用するという考え方はレイク受信と共通している。