TKIP 【Temporal Key Integrity Protocol】 WPA-TKIP
概要
TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)とは、無線LAN(Wi-Fi)の暗号化に用いられるWPAで採用された暗号化プロトコル(通信手順)の一つ。解読が容易になってしまったWEPを改良して安全性を高めた方式で、無線LANの標準規格であるIEEE 802.11の一部として採用され、広く普及している。TKIPは端末と無線アクセスポイント(AP)の間で暗号通信を行う際の暗号鍵の生成方式を規定しており、暗号化自体はこの鍵を用いてストリーム暗号の一種であるRC4により行う。
TKIPでは、WEPと同じように事前に共有された暗号鍵とともに初期化ベクトル(IV:Initialization Vector)と呼ばれる一定の手順で算出され毎回異なる値を加えて実際の暗号化に用いる鍵を生成する。WEPで24ビットだったIVの長さを48ビットに伸ばし、より解読されにくくなっている。
また、鍵生成の算出には一定の送受信回数ごとに切り替わる128ビットの一時鍵(TK:Temporal Key)や、端末ごとに固有のMACアドレス(48ビット)を加えるため、鍵は端末ごとに異なり、時間の経過によっても変化する。攻撃者は短時間で解読を行わなければ、仮に鍵を割り出せたとしても通信の傍受はできない。
WEPと仕組みは似ており、特に実際の暗号化はRC4という共通の方式で行うため、古いWEP対応機器の中にはソフトウェアやファームウェアの更新によりTKIPに新たに対応できるケースがあった。
WPAの後継であるWPA2規格では、暗号化にAESを、暗号化プロトコルにCCMP(Counter mode with CBC-MAC Protocol)を採用したより安全なWPA2-AESが用意されており、TKIPからの移行が推奨されている。
(2019.5.29更新)