U-APSD 【Unscheduled Automatic Power Save Delivery】
概要
U-APSD(Unscheduled Automatic Power Save Delivery)とは、Wi-Fiの省電力機能の一つで、省電力モードで動作している端末からアクセスポイント(AP)に信号を送り、これに応答して溜まったデータをまとめて送信する機能。Wi-Fiには伝送データの種類を識別する「WMM」(Wi-Fi Multimedia Extension)規格があり、データ種別ごとに通信品質を制御するQoS(Quality of Service)機能の一環として「APSD」(Automatic Power Save Delivery)仕様が定義されている。
U-APSDはAPSD仕様の一つで、端末が省電力モード(スリープモード/スタンバイモード)になると、APは端末向けの送信データを内部に溜め込んでいく。端末は100ミリ秒といった短い一定時間ごとにAPに信号を送り、それまでに溜まったデータを受け取る。
通常時のように常に送信データがあるか確認し続けなくてよく、スリープ状態で過ごす時間を長くできるため、伝送遅延を抑えつつ消費電力を抑えることができる。VoIP端末などWi-Fiを利用するモバイル機器のバッテリー駆動時間を伸ばすことができる。
APSDでは「S-APSD」(Scheduled APSD)という動作モードも用意されており、端末からの信号を待たずに一定時間ごとにAPからデータを送信する。APSDはIEEE 802.11e規格の一部として標準化されており、APと端末の両方が対応している場合に利用できる。一部の機器ではU-APSDが有効な場合に極端に伝送速度が低下することがあり、機器の設定でオフにすることで問題を回避することができる。
(2023.1.6更新)