Wi-Fi HaLow 【IEEE 802.11ah】
概要
Wi-Fi HaLow(IEEE 802.11ah)とは、無線LAN(Wi-Fi)の標準規格の一つで、1GHz(ギガヘルツ)未満の周波数帯を用いて少ない消費電力で低速な通信を行うことができるもの。IoTにおけるセンサー類や機器の制御に用いることを想定している。通常のWi-Fi規格に比べ制御回路の電力消費が少なく、電池で動作する小型の装置でも長期間通信を維持することができる。通信速度は150kbpsと従来のWi-Fi規格に比べ低速で、パソコンやスマートフォンをインターネットに接続して人間が使用する用途には向いていない。
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やM2M、センサネットワークなどで、センサー類や機器の制御装置などを無線ネットワークに接続し、遠隔から監視・制御することを想定した仕様となっている。
一台のアクセスポイント(AP)が半径1km程度の範囲にある最大8000台程度の機器をカバーすることができ、建物内や複数の建物で構成されるキャンパス内での構内ネットワーク構築のほか、屋外に設置された機器群を接続するネットワークを構築することもできる。
無線周波数帯は1GHz未満(サブギガヘルツ帯、概ね700~900MHz程度)のうち免許が不要な周波数帯が用いられ、日本では920MHz帯の電波を利用する。2.4GHz帯や5GHz帯を用いるコンピュータ向けのWi-Fi規格に比べ遠くまで届き、電波が回折しやすいため地形や建物、障害物を回り込みやすいという特性がある。
2017年にIEEEによって「IEEE 802.11ah」として標準化され、業界団体のWi-Fi Allianceが「Wi-Fi HaLow」のブランド名で対応機器の相互運用試験や認証を行っている。IoT向けの広域無線技術は「LPWA」(Low Power, Wide Area)と総称され、Wi-Fi HaLow以外に「Sigfox」「LoRa」「Wi-SUN」「LTE-M」「NB-IoT」などの方式が知られる。
(2024.1.16更新)