ビームフォーミング 【beamforming】

概要

ビームフォーミング(beamforming)とは、無線通信に用いられる電波をアンテナから特定の方向に強めたり弱めたりすることで、通信距離を伸ばしたり感度を向上させる技術。

通常の無線通信では電波をアンテナを中心とする同心球状にどの方向へも同じ出力で発信するが、ビームフォーミングでは複数(構成によっては多数)のアンテナから同じ電波を発信し、それぞれの位相と電力強度を調整することにより、特定の方向では強め合い、別の方向では打ち消し合って弱まるようにする。

このような制御により、あたかも電波に指向性があるかのように特定の方向だけに集中的に信号を送信することができるようになる。近くで同じ周波数を用いる機器との干渉を回避したり、通信相手の位置を追尾して常に相手のいる方向に強い電波を飛ばすことができる。

ビームフォーミングを利用するには通信う機器(基地局端末など)がいずれも対応している必要があり、通信の開始時や一定周期で互いに位置や信号強度を知らせる特殊な信号やデータを送り合い、自動的に電波の発信方向や強度の調整をう。

Wi-Fi規格のIEEE 802.11acWi-Fi 5)、IEEE 802.11axWi-Fi 6)が標準でビームフォーミングに対応しているほか、携帯電話・移動体データ通信5G規格でも標準的に用いられることになっている。

(2020.5.21更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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