IEEE 802.11ax 【Wi-Fi 6】 11ax
概要
IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)とは、無線LAN(Wi-Fi)の標準規格の一つで、2.4GHz(ギガヘルツ)帯あるいは5GHz帯の電波を用いて最高9.6Gbps(ギガビット毎秒)で通信できる仕様。IEEEが2021年に標準化した規格で、第6世代の「Wi-Fi 6」として知られる。前世代のIEEE 802.11acに引き続いて複数のアンテナを組み合わせてデータ送受信の帯域を広げる「MIMO」(Multiple Input Multiple Output)に対応し、最高8本までのアンテナを同時に使用しデータを8並列(8ストリーム)で伝送できる。
同一周波数で同時に複数の端末と通信できる「マルチユーザーMIMO」(MU-MIMO)は11acの4端末から8端末に拡張されている。11acではアクセスポイント→端末方向(ダウンリンク)の通信のみMIMOが用いられたが、逆方向(アップリンク)もMIMO化されている。
一つのチャンネルに用いる周波数の帯域幅は20MHz(メガヘルツ)幅、40MHz幅、80MHz幅、160MHz幅が用意され、それぞれ異なる変調方式が用いられる。変調方式には11acの256QAM(一回の変調で8ビット)からシンボル数を4倍に増やした1024QAM(同10ビット)が追加されている。
複数の端末と同時に通信する多元接続方式にはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が採用され、時間と周波数の両方で伝送帯域を細かく分割し、各端末に割り当てる。大量の端末が密集した環境でも性能劣化を抑えることができる。
従来の省電力技術に加えて、端末ごとに起動するタイミングを指定できるTWT(Target Wake Time)方式が追加され、各端末が自分に必要な時間だけ通信し、あとはスリープ状態で電力消費を抑えることができる。20MHz幅のみの対応などと組み合わせればIoT機器での利用も十分実用になると見込まれている。
理論上の最高伝送速度は9.6Gbpsだが、通信速度は周波数や帯域幅、MIMOのアンテナ数の組み合わせなどによって異なる。高速な仕様を使いたい場合は通信する機器の双方が対応している必要がある。