Objective-C
概要
Objective-Cとは、プログラミング言語のC言語にオブジェクト指向プログラミングを可能にする仕様を追加した言語の一つ。米アップル(Apple)社のmacOS(Mac OS X)やiOS向けソフトウェア開発における標準言語の一つに採用されたことで有名。C言語の標準仕様を踏襲してオブジェクト指向的な拡張仕様を追加しているため、C言語で記述されたプログラムはObjective-Cの処理系でもそのまま有効なプログラムとして扱うことができる。
オブジェクト指向部分はSmalltalk(スモールトーク)を参考にしたもので、メッセージ式と呼ばれる記法によるメソッド呼び出し、実行時にクラスを拡張するリフレクション、動的データ型などの特徴を有する。
Cからの拡張部分の表記法は、C自体や(Cをオブジェクト指向拡張したもう一つの言語である)C++言語のスタイルとは大きくかけ離れた特殊な仕様となっている。一つの独立したプログラミング言語というよりはCのマクロやメタ言語の体系に近いと評されることもある。
歴史
Objective-Cの開発は1983年にブラッド・コックス(Brad Cox)氏とトム・ラブ(Tom Love)氏の設立したステップストーン(Stepstone)社によって開始された。1985年に米ネクスト・コンピュータ(NeXT Computer)社のオペレーティングシステム(OS)製品である「NeXTSTEP」(ネクストステップ)の主要な開発言語に採用されたことで注目された。
1995年にはSteptone社のObjective-C関連資産をNeXT社が買い取り、正式に自社技術として展開することになった。1997年にApple社がNeXT社を買収すると、新たに開発された同社のパソコン向けOSの「Mac OS X」シリーズ(現macOS)の主要な開発言語となった。
その後、同社の携帯情報端末iPhoneやiPad、iPod touchのOSであるiOSの標準開発言語としても採用され、これらのスマートフォンやタブレット端末向けのアプリの多くがObjective-Cで開発された。この役割は現在では同社が新たに開発したプログラミング言語「Swift」(スウィフト)に譲りつつある。