インスタンス 【instance】
概要
インスタンス(instance)とは、事実、事例、例、場合などの意味を持つ英単語。ソフトウェアの分野では、あらかじめ定義されたコンピュータプログラムやデータ構造などを、メインメモリ上に展開して処理・実行できる状態にしたものを指す。この意味では「実体」と訳されることもある。オブジェクト指向プログラミングで、クラス定義に基いて実行時にメモリ上にデータと手続きの集合として実体化されたオブジェクトのことをインスタンスという。クラスからインスタンスを生成することを「インスタンス化」(instantiation)という。
クラスは一種の雛形であり、同じクラスから作られたインスタンスは同じ変数(プロパティ)と手続き(メソッド)を持つが、各プロパティに代入される値はそれぞれのインスタンスごとに固有となる(インスタンス変数の場合)。あるインスタンスのプロパティの内容を書き換えても、同じクラスの他のインスタンスの同名プロパティは影響を受けない。
VMインスタンス
コンピュータ仮想化の分野では、物理的な一台のコンピュータ上で、ソフトウェアとして実装された仮想的なコンピュータを仮想マシン(VM:Virtual Macine)と呼び、コンピュータ上に起動したVMのことを「VMインスタンス」という。
利用者やオペレーティングシステム(OS)などから見ると、VMインスタンスはあたかも一台のコンピュータが稼動しているかのように振る舞い、実際のコンピュータと同じようにソフトウェアを起動し、利用者の操作を受け付け、外部とデータのやり取りを行うことができる。
VMインスタンスの実体はコンピュータのメモリ上に展開されたプログラムとデータの集合であるため、物理コンピュータそのものとは異なり、ある瞬間の構成や状態をデータとして丸ごと保存して後で再現したり、稼働状態のまま通信ネットワークを通じて他の物理コンピュータに転送し、移動先で同じように稼働を続行することができる。
(2023.12.1更新)
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 国土交通省 都市交通調査・都市計画調査「都市計画GIS導入ガイダンス
」にて参照 (2005年3月)