ラムダ式 【lambda expression】
一般的な手続き型プログラミング言語で関数やメソッドを定義するには、「関数宣言 関数名(引数リスト){処理内容}」のような書式を取ることが多いが、一度しか使わない関数の場合は記述が冗長で、関数定義と関数呼び出しが離れるなどコードの見通しも悪くなりがちである。
ラムダ式では関数名無しで「(引数リスト)→式」あるいは「(引数リスト)→{複数の文}」といった形式で記述することができる。右矢印記号「→」はASCII文字コードには無いため、実際には「->」(Javaなど)や「=>」(C#など)で代用することが多く「アロー演算子」とも呼ばれる。
例えば、引数2つの和を返す関数は通常、function add(x,y){return x+y} のように定義するが、これを (x,y)=>x+y あるいは (x,y)=>{return x+y} のように記述できる。処理内容に文を記述できる言語では通常の関数定義と同じように複雑な処理を記述することもできる。引数の型宣言を省略できる言語もある。
主な用途としては高階関数(関数を引数や返り値とする関数)があり、引数として引き渡す関数や返り値として返却する関数をその場で簡潔に記述することができる。言語によっては作成した関数を変数などに代入して「変数名(引数)」のように呼び出すこともでき、通常の関数とは異なり変数のように内容を上書きしたり入れ替えることができる。
ラムダ式は数学で f(x)=x+1 を f=λx.x+1 のように記述する「ラムダ計算」(lambda calculus)をプログラミングに応用したものであるため、このように呼ばれる。もともと関数型言語で用いられてきたが、近年では関数型ではない言語でも導入が進んでおり、Java、C#、C++言語、JavaScript、Pythonなどに広まっている。