仮数部 【significand bits】 fraction
コンピュータ上では実数を表す数値表現として浮動小数点をよく用いる。これは数を「仮数×基数指数」という形式で表現するが、コンピュータ上ではすべての情報を「0」と「1」を組み合わせたデジタルデータとして表すため、仮数や指数は2進数で表し、基数は2となる。
浮動小数点数をビット列として表したとき、正負を表す符号の部分を「符号部」、仮数の桁の並びを格納した部分を「仮数部」、仮数に2の何乗をかけるかを表す指数を格納した部分を「指数部」という。データ型ごとに決められたビット数の中にこの3つを規定の長さずつ並べる。
例えば、標準規格のIEEE 754形式の場合、32ビット長の単精度浮動小数点数型では符号部1ビット、指数部8ビット、仮数部23ビットがこの順に並んでいる。64ビット長の倍精度浮動小数点数型ではそれぞれ1ビット、11ビット、52ビットであり、16ビット長の半精度浮動小数点数型では1ビット、5ビット、10ビットとなる。
なお、同じ数値でも仮数と指数の組み合わせには様々なパターンがあり得るが、通常は仮数が必ず「1.01101…」のように実数部分が「1」になるよう指数を調整する。実数は常に1であるため省略することができ、小数点以下の「01101…」の部分だけを記録すればよい。これを「けち表現」(hidden bit)と呼び、仮数のすべての桁を記録する場合より精度を1ビット向上させることができる。
(2022.11.29更新)