Fortran 【Formula Translating System】

概要

Fortran(Formula Translating System)とは、科学技術計算などでよく用いられるプログラミング言語の一つ。1954年に米IBM社のジョン・バッカス(John W. Backus)氏が考案した言語で、世界で最初の高水準(高級)プログラミング言語であるとされる。

手続き型言語で、複素数型を組み込みデータ型として利用できたり、数式を数学での表現に近い形で記述できるなど、数値計算プログラムを記述しやすいようにできている。また、科学技術分野で長年用いられてきたことから数値計算ライブラリなどが豊富に蓄積・整備されている。

当時の大型コンピュータではパンチカードでプログラム入力っていたため、180桁固定で、1~6桁目はラベルコメント宣言、7~72桁目がプログラム本文、73~80桁目が注釈などと決まっていた。他にも変数名が6文字以内など古いコンピュータ設計に基づく制約があったが、Fortran 90以降では現代的な仕様に生まれ変わっている。

歴史

コンピュータプログラムの作成にアセンブリ言語しか使えなかった当時、初の本格的な高水準言語として好評を博した。1960年代には各コンピュータ会社が自社機向けに派生仕様や専用の開発環境などを提供しはじめたため、1966年にANSI米国規格協会)が標準規格(FORTRAN 66)を定めた。

コンピュータ技術の発展とともにFORTRAN 77、Fortran 90、95、2003、2008、2018と標準仕様は今日まで継続的に改訂され続けている。近年の規格ではオブジェクト指向並行処理についての仕様が追加される一方、時代遅れの古い仕様が削除されている。

初期のコンピュータはアルファベット小文字に対応していなかったことなどから、当初は「FORTRAN」(印刷物などではO以降が小さいサイズの大文字=スモールキャピタルとなる)と表記されたが、Fortran 90以降では「Fortran」表記が規格上の正式名称であるとされる。

(2023.2.18更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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