参照透過性 【referential transparency】
概要
参照透過性(referential transparency)とは、コンピュータプログラムで、式や関数が同じ要素で構成されていれば、出力は必ず同じになるという性質。宣言型言語や純粋関数型言語などが備える性質である。一般的な手続き型プログラミング言語では、変数の値はプログラム中で繰り返し更新(再代入)することができるため、その変数を参照する式や関数の値も、代入する度に変化する。正しく処理を記述するには特定のコードが実行される時点の変数の状態を意識する必要がある。
一方、参照透過性を備えた言語では、変数に値を代入すると以降は常にその値が維持される。その変数を参照する式や関数も、いつ実行しても常に同じ結果となる。そのような言語では変数の再代入という概念はないが、再帰関数やラムダ式、モナドなどの仕組みを駆使して、手続き型言語と遜色なく任意のプログラムを作成できることが知られている。
主要なプログラミング言語の分類のうち、関数型言語は参照透過性のあるプログラムを記述することのに向いている。実用性などへの配慮から再代入を可能にしている関数型言語もあるため、仕様から再代入が排除されているものを特に「純粋関数型言語」と呼ぶことがある。
(2024.2.20更新)