ヌルポインタ 【null pointer】
概要
ヌルポインタ(null pointer)とは、変数や関数などのメモリアドレスを格納するポインタが、どのアドレスも指し示さない特殊な状態のこと。実際の値は言語や処理系によって異なるが、0や不定値を取ることが多い。ポインタ(pointer)はC言語などのプログラミング言語に用意されている特殊なデータ型および変数で、ある変数などがメモリ上で格納されている位置の情報(メモリ上の番地)を変数として扱うことができる。
通常のポインタは対応する何らかの実体の所在を格納しているが、ヌルポインタは何も指し示していないことを表す特殊なポインタである。ポインタを返り値とする関数が、何も返すべき実体が無い場合などに用いられる。対応する実体がないため、値の読み書きなどを行おうとするとメモリアクセスに関する例外やランタイムエラー(セグメンテーション違反など)が発生する。
C言語ではvoid型へのポインタ(void *)として表され、#define NULL ((void *)0) として定義されたNULLというマクロでコード中に記載することになっている。実際の値は0だが、これはメモリの0番地を指すわけではなく、言語処理系によって実体が存在しないポインタとして処理される。
ポインタではなく参照(reference)を用いる言語でも、何も指し示さない参照としてヌルポインタに相当する特殊な定数などが用意されていることがある。JavaのnullやVisual BasicのNothing、Rubyのnilなどである。Javaにはポインタの概念は無いがnull参照から値の読み書きをしようとした場合などには “NullPointerException” という例外が生じる。
なお、日本では “null” の綴りに引きずられて「ヌル」の音写が定着しているが、英語では “u” の短母音は「ア」に近く、“null pointer” は「ナォポインタァ」のような発音となる。
(2018.12.13更新)