指数部 【exponent bits】

概要

指数部(exponent bits)とは、数値をコンピュータ上で浮動小数点型データとして表現したときに、小数点の位置を指し示す部分のこと。その数のスケールを表している。

コンピュータ上で実数を表す数値表現として浮動小数点をよく用いる。これは数を「仮数×基数指数」という形式で表現する方式で、コンピュータではすべての情報を「0」と「1」を組み合わせたデジタルデータとして表すため、仮数指数2進数で表し、基数は2となる。

浮動小数点数ビットとして表したとき、正負を表す部分を「符号部」、仮数の桁の並びを格納した部分を「仮数部」、仮数に2の何乗をかけるかを表す指数を格納した部分を「指数部」という。データ型ごとに決められたビット数の中にこの3つを規定の長さずつ並べる。

例えば、標準規格のIEEE 754形式の場合、32ビット長の単精度浮動小数点数型では符号部1ビット、指数部8ビット仮数部23ビットがこの順に並んでいる。64ビット長の倍精度浮動小数点数型ではそれぞれ1ビット、11ビット、52ビットであり、16ビット長の半精度浮動小数点数型では1ビット、5ビット、10ビットとなる。

なお、例えば指数部が8ビットの場合、指数は-128~127のをとり得るが、指数部の整数表現として符号付き整数は用いず、0から255までの符号なし整数で表すことが多い。これを「イクセス表現」(excess notation/excess-N)「下駄履き表現」「バイアス表現」「オフセットバイナリ」等と呼ぶ。格納されたから127を引いたものが実際のであり、「0」なら-127を、「127」なら0を、「255」なら128をそれぞれ表す。

指数部は特殊なを表現するのに用いられることもある。例えば、IEEE 754形式では、指数部のが最大値(8ビットなら255、実際のは128)のとき、仮数部が0以外なら非数NaNNot a Number)を、仮数部が0の場合は無限大(正負は符号部で指定)を表す。また、指数部が最小値(8ビットなら0、実際のは-127)のとき、仮数部が0なら「0」を、仮数部が0以外の場合は非正規化数(正規化できない絶対値が極端に小さな)を表す。

(2022.11.29更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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