Visual Basic 【VB】

概要

Visual Basic(VB)とは、米マイクロソフト(Microsoft)社がBASIC言語を元に自社ソフトウェア製品向けに開発したプログラミング言語および言語処理系(開発実行環境)。グラフィック表示やマウス操作を多用した独自の開発環境やシンプルな文法などで初心者が取っつきやすい言語と言われる。

グラフィック表示(GUI)のWindowsアプリケーションを容易に開発できるよう設計された言語および開発環境で、最初にまっさらなアプリケーションの表示画面が現れ、あらかじめ用意された様々な表示・操作要素(「コントロール」と呼ばれる)をマウス操作で配置していき、各種のパラメータや挙動(クリックされたらこのように変化する等)を設定していくことで開発を進めることができる。

従来のプログラミング言語のように順番に一行ずつコードを書かなくても、ソフトウェアの目に見える部分の動作のほとんどを作り上げることができる。グラフィック表示で指定した部分についても対応するプログラムコードが生成されるため、細かい挙動をコード上で定義することができるほか、表示・操作に直接反映されない内部的なデータ処理などは、他の言語と同じようにコードを記述していく必要がある。

プログラミング言語としての主な仕様は同社がMS-DOS時代に開発・販売していた「QuickBASIC」(クイックベーシック)を踏襲しており、命令語引数を空白(スペース)で区切るBASIC言語スタイルの記法を採用している。サブルーチン(Sub文)や各種の制御構文で構造化プログラミングが可能なほか、オブジェクト指向的な拡張も施されており、画面上のフォームコントロールオブジェクトとして取り扱う。

表示や操作のためのGUI部品(パーツ)を始めとして様々な機能を実装した豊富なコントロールがあらかじめ開発環境に同梱されており、これらを組み合わせて相互に機能を呼び出すよう設定するだけで基本的なアプリケーション開発することができる。同社や他社が提供するコントロールを追加で組み込んで利用することもできる。

Visual Basicプログラム開発環境によってコンパイルされて実行可能形式に変化されて配布されるが、実行ファイルは単体では動作せず、独自のランタイムライブラリOSに組み込む必要がある。ランタイムWindows専用で、同社からインターネットなどを通じて無償で入手できるほか、開発したアプリケーション配布パッケージに同梱することもできる。

派生言語

オリジナルのVisual BasicはWindowsアプリケーション開発に特化しているが、同じ文法体系を採用し機能の一部が重複している派生言語がある。

同社のMicrosoft OfficeアプリケーションMicrosoft Word/Excel/PowerPointなど)上で動作し、操作や処理を自動化するプログラム開発実行することができる言語をVBAVisual Basic for Applications)という。

また、同社のWebブラウザInternet ExplorerWindows上のスクリプト実行環境WSHWindows Scripting Host)上で動作する簡易なスクリプト言語VBScriptという。Webページ動的な処理を追加したり、Windowsの操作や管理、プログラム実行などを自動化する簡易なプログラムスクリプト)を記述することができる。

歴史

最初のバージョン(1.0)は1991年に発売されたが、本格的に普及し始めたのはWindows 95向けのソフトウェア開発できるVisual Basic 4.0(1995年発売)からであった。

Windowsネイティブ環境Win32)向けのオリジナルのVisual Basicは1998年のバージョン6.0(VB6)で開発終了となり、次バージョンからはMicrosoft .NET環境向けのプログラム開発することができる「Visual Basic .NET」(VB.NET/ビジュアルベーシックドットネット)へ移行した。

VB.NETはVB6以前とは記法などは似ているものの直接的なソフトウェア上の互換性はほとんどなく別物となっており、これを嫌って2000年代半ばを過ぎてもWindowsアプリケーション開発にVB6を使い続ける開発者や企業は多かった。

(2018.6.19更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
ホーム画面への追加方法
1.ブラウザの 共有ボタンのアイコン 共有ボタンをタップ
2.メニューの「ホーム画面に追加」をタップ
閉じる