DCOM 【Distributed Component Object Model】 分散COM / Distributed COM
概要
DCOM(Distributed Component Object Model)とは、米マイクロソフト(Microsoft)社が提唱していた、ソフトウェアの機能を部品化して外部から呼び出して利用する仕組みを定めた技術仕様「COM」の改良版で、異なるコンピュータ上のコンポーネント間で通信できるようにしたもの。COM(Component Object Model)はソフトウェアの機能を部品化して外部から呼び出して利用する仕組みを定めた技術仕様の一つで、部品化されたプログラムを「COMコンポーネント」という。主にWindows環境でのプログラム間連携を容易にするために用いられた。
DCOMは1996年に発表され、COMに基いて開発されたコンポーネントがネットワークを通じて連携し、互いの機能を呼び出したりデータを送受信したりする方法を規定している。関数などの呼び出しや結果の返却などの通信にはRPC(Remote Procedure Call)の一種である「DCE/RPC」を用いている。これはオリジナルの仕様の一部が同社により拡張されているため「Microsoft RPC」(MSRPC)とも呼ばれる。
1999年にはDCOMにMTSやMSMQなどの機能を統合し、オペレーティングシステム(OS)側の機能を強化した「COM+」が発表され、Windows 2000の一部として提供された。以降のWindows製品にも標準でDCOM仕様を含むCOM+環境が実装されている。
当初は「CORBA」などに対抗してインターネットなど広域ネットワークにおける異機種分散オブジェクト環境の標準を目指していたが、LAN-WAN間の透過的なアクセスやセキュリティの確保などの課題があり、Windowsのネットワーク(LAN)機能の一部として利用されるに留まった。
(2024.3.30更新)