トレース 【trace】

概要

トレース(trace)とは、跡(をつける)、形跡、証拠、小道、なぞる、たどる、追跡する、などの意味を持つ英単語。主に「順にたどって調べる」という意味と、「そっくりに写し取る」という意味で用いられることが多い。

プログラムのトレース

プログラミングソフトウェア開発の分野では、実行するとエラーや誤った結果を生じるコンピュータプログラムのどこに問題があるか突き止めるために、命令の実行を順番にたどって各段階の状態・状況を確認する作業をトレースという。

プログラムの欠陥箇所を探し出して修正する「デバッグ」(debug)工程における最も一般的で有力な手法の一つである。プログラム中に状態を出力するコードを挿入したり、デバッガステップ実行機能など専用の支援ツールを用いてうことが多い。

トレース作画

絵や図を描く手法の一つで、お手本となる絵や図、写真などに薄い紙を重ねて下から光を当てるなどして透かし、輪郭線などをなぞってそっくり書き写すこと(および、そのような方法で書き写したもの)をトレースという。

紙面を背後から蛍光灯などで照らすことができる「トレース台」や、背景が透けて見える半透明の「トレーシングペーパー」などを用いてう。この用法では「トレス」という表記もよく見られる。コンピュータ上ではペイントソフトレイヤー機能などを用いてうことができる。

また、転じて、文章や音楽、発言、思想などについても、特定の誰かとそっくりなことを指してトレースということがある。多くの場合、受け売り、ものまね、引き写しといった否定的なニュアンスで用いられる。

トレーサビリティ

産業分野では、モノの移動や加工などの履歴を個体ごとに時系列に記録し、問題が発生した際などにこれを参照して来歴をたどることをトレースということがある。そのように後から検証が可能な状態のことを「トレーサビリティ」(traceability追跡可能性)という。

(2024.1.24更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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