打ち切り誤差 【truncation error】
概要
打ち切り誤差(truncation error)とは、コンピュータで数値計算を行う際に生じる計算誤差の種類の一つで、繰り返し計算を行なって値を求めるような場合に途中で計算を打ち切ることによって計算結果と真の値との間に生じる差のこと。無限小数や無限級数、数値積分、極限値などの計算をコンピュータで行う場合、無限回の計算を行うわけにはいかないため、ある項までで計算を切り上げ、以降の項の値は計算結果は反映されなくなる。これによって正しい結果との間に生じる差を打ち切り誤差という。
一回の値の算出における打ち切り誤差が小さくても、コンピュータシミュレーションなどで大規模に計算を繰り返す場合は誤差が蓄積されて最終的な結果の精度に影響する場合もある。原理上完全に避けることはできないが、計算に用いる級数をより収束の速いものに変形したり、より正確な近似法を用いるなどの手法により切り捨てられる値を小さくして打ち切り誤差を緩和できる場合がある。
(2020.6.30更新)